劇「Glengarry Glen Ross」

マサチューセッツで最後に見る劇になったのは「Glengarry Glen Ross」だった。セーラム州立大学の卒業生達が集まった劇団による公演だった。この劇はアメリカで著名の現代劇作家David Mametの戯曲で、アル・パチーノやケヴィン・スペーシーが出演している映画にもなっている。日本名は「摩天楼を夢見て」。話しの内容からして、あまり納得のいかない日本名だ。言葉の多い劇であまりアクションは無いが、役者の技量の見せ所が沢山詰まっている。もちろん映画ではアル・パチーノは素晴らしい演技をしている。

今日の役者達も上手くやっていた。クライマックスに向う第2幕では、劇の内容を知っていてもハラハラドキドキしながら見ていた。もちろん演技が良かったからそう思えたのだ。結構できる役者を卒業させているセーラム州立大学の一部でいられた僕は本当にラッキーだったのだと実感する。

同僚と5人で行き、劇の前は食事をしながら楽しく過ごし、劇が終わった後も感想を述べ合う。こういう雰囲気は凄く充実感があって、劇の事を話すのが嬉しかった。演劇を見るのがやっぱり一番楽しいのだと改めて思った。短い間ではあったが演劇で仕事をして食べていた事は最も幸せだったのだろう。

今日限りで僕はもう助教授では無くなってしまった。これからは英語の先生。これもまた運命か使命だ。何を教えていようとも、先生でいられるのだったら僕はきっと幸せに生きていけるだろうと思う。教えている時間はとっても純粋に誰かのためになれているような気がするから。少しでも人のためになることが人間として生まれてきた理由だから。

アメリカを離れる数日前に、ずっとこれからも演劇が好きなんだと思い知らせてくれた劇だった。何があっても演劇から離れることは出来ないから、これからも何らかの形でつながっていくのだろう。

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