「そして七日目には...」

パウロ・コエーリョの三部作を読み終えた。「ピエドラ」、「ベロニカ」、そして今回は「悪魔とプリン嬢」。女性が主人公である事と一週間の出来事を扱っていることが全三作に共通した。それぞれの主人公は一週間で生まれ変わるのだ。

「運命は待ってくれない。人生は後ろを振り返らない。一週間という時間は、私たちが自分の運命を受け入れるかどうかを決断するのに十分過ぎるほどの時間だろう」とコエーリョは語っている。これはまたタイムリーな教訓であり、今考えるとこの三部作を読み始めた5月からの僕の人生は面白い程に動いている。確かに運命であり、待ってくれはせずに容赦なく時間は過ぎて行き、足踏みをするなと何度も語ってくれるこの三部作に何度インスピレーションを感じ助けられただろうか。それを読んでいる瞬間だけでも心を救ってくれた。

「善と悪は同じ顔をもっているということです。それがひとりひとりの人間の歩みととどの時点で交差するかにすべてがかかっているというわけです。」

今回の「プリン嬢」は善と悪をテーマにしていて、身近に感じられた。僕は自分のくだらない欲望に負けそうになったり、時には負けることもきっとあっただろう。悪と言っても、そんなに悪い事をするわけではないが、モラルを揺るがす物は以外と沢山この世の中にはあり、それが簡単に手にはいってしまう事が危険なのだ。本当は悪い事とわかっていても、それに誘惑されてしまったりする。自分は強くて、そんな事など絶対やらないと思っていても、考えてしまうのだ。そんな自分を許してしまうのだ。

「約束なんてものは信じてはいけない。世の中は約束だらけだ。富だとか、永遠の救済だとか、無限の愛だとか。人間の中には何でも約束できると自分で思っている人がいる。その一方で、よりよい人生を保証してくれるものなら何でも受け入れてしまう人もいる。」

「条件さえ整えば、地球上のすべての人間が喜んで悪をなす。」

「この世の人間の大半が同じ間違いを犯すらしいけど。一番楽しい場所に苦しみを探し求めるんだ、自分が幸福に値しないと思っているものだから。」

「自分がどうしてみじめな人間になったのかもわかった。自分の身に起ったことが自分にふさわしくなかったと思っているからなんだ。」

結局プリン嬢は運命の選択をすることになる。たった一週間の間に生まれ変われるチャンスを手に入れたのだった。

善と悪は常に共存していて、自分の中で戦っている。人間は常に善を選択する事ができないのが事実だろうか。でも、そんなピュアになれるチャンスと言うものはあるような気がして、それが本当の愛の力だと思っていたい。信じていたい。僕にもそのチャンスがあったと思いたいから。

コエーリョの世界に「アルケミスト」で出会った今年の2月以来、運命というテーマが毎日のように僕の人生を駆け巡っている。運命を感じて受け入れるのも自分次第で、その時はきっと最適な選択だと信じているに違いない。それだけでいいのだ。その瞬間に生きれた証拠になるから。運命に生きれた時こそ、最高に幸せなのだと思う。それが辛いことであっても。

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