僕がやって来た事

最近、身近にいても僕のやってきた事を理解してくれていない人が居た事に気付いた。自慢話になるのが嫌で、聞かれないと僕も沢山話す気にもなれない。そんな人達がこれを読んでくれるとも思わないが書いてみたくなった。

僕にはそれなりに自分がやってきた事に対してのプライドがある。アメリカの大学で母国語でも無い英語で演劇を目指したのは19歳の時。それから英語の発音や発声を訓練し、ステージの上でもアメリカ人同等の聞き取りやすい英語が話せるようになった。演劇学部を卒業後、専門学校、大学院で演劇を学んだ僕は本当に演劇の事しか知らない。演劇活動をしながら講師として教えたりしてきて、31歳で大学の助教授に就任した。アメリカ国内ではアラスカ州、カリフォルニア州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ワシントンDCでの活動経験があり、去年はポーランドで公演をした。今年はコスタリカでワークショップを教えて来た。演劇をコスタリカで教えた日本人が今までいただろうか?

専門は身体表現と言うもので、もちろん体で表現をする技術を学び、教えてきた。体の訓練によってステージの上での存在感が目立つ様になったりするものでもある。ステージの上で周りにある人や物への自覚を高めたり、協調性を豊にする事も教えて来た。言葉を使わずに表現出来る事はいっぱいあって、例えば態度に出たり、ちょっとした仕草やジェスチャーで伝わる物もある。物を言う前に雰囲気によってその人の機嫌や心境がわかったりする事も普通に経験をみんなしていると思う。それをステージの上では状況やキャラクターを台本で読む中、完全に分析し役を体から作って行く。自然に声が変わると言う事も起きる。とても奥が深い。フィクションの世界で本当に感情を表現したいのであれば、体でそれを信じて感じてるしかない。頭や心の中でとまっていても仕方がない。

「現代演技の父」として知られているスタニスロブスキーは心理的な演劇の方法を完全に確立した人だ。しかし、彼とともにモスクワ・アートシアターで活躍したマイヤホールドは身体表現の大切さを強調していた。後々二人は違う道を歩む運命にあった。どちらのセオリーももちろん正しく、結局はバランスが必要なのだ。心身ともにそろってこそ上手い演技ができる。当たり前の事のようだが、両方を上手くできる役者はそんなに居ない。どっちかが欠けていても、上手い方を目立つように見せるように訓練されていくのだ。

身体表現の代表的な方法を全体的に学んだ中、ラバンのトレーニングは体から役を作る事に非常に役に立つものだ。ルードルフ・ヴォン・ラバンは体の動きに対して初めて語彙を与えた人だ。なので、彼のダンス界への貢献は素晴らしく「モダン・ダンスの父」と呼ばれている。ラバンのセオリーによると体の動きは大きく分けると 時間、空間、エネルギー、重量の4種類のカテゴリーに分けることができて、それぞれのカテゴリーのなかで正反対の二つにわかれる。合計8種類の動きの中で2−3種類を同時にやると面白い動きになっていったり、自分の癖とは違う動きができたりする。体から全く自分と違った役を作りたい時に8種類違う動きがある事を知っていれば必ず役に立つものだ。自分が普段どう言う風に動いているかも判断出来る。

僕は他にも仮面、コメディア・デルラテ、フィジカル・コメディー、ステージコンバット(殺陣)等を勉強して来た。トレーニングと言うのは学校を卒業しても終わる事はなく、ワークショップや講習をアメリカ各地で常に受けて来た。僕がワークショップを教える機会も色んな場所で与えてもらった。子供からプロの人達まで色んな人達を教えて来た。

趣味が仕事になり軌道に乗っていて、とても充実感がある生活をアメリカでしていた僕に変化が起きたのは去年の12月からだった。悩んだあげくに仕事とアメリカ生活を全部辞め佐賀に帰って来た。演劇には最初と最後のシーンが同じ場面だったりすることがよくある。佐賀に始まり、佐賀で終わる。シェークスピアも「All the World's a Stage」と言ったものだ。そんな感じの人生も僕に似合っているのかも知れない。

コメント

匿名 さんのコメント…
あなたが今までやってきたことに対して誇りが持てるというのはなんて素晴らしいことでしょう。
世の中いろんな人、考えの違う人達がいるのですから、どんなに親しくても10人いれば10通りの考えや、考え方ががあるわけで、10人の人たち全員に自分の事を理解してもらうということは至難の業でしょう。その中で半分でも、たとえ1人でもあなたの事を理解し、わかってくれる人があれば幸せなのではないでようか。
あなたがこれまでやってきたことは、確実にこれからあなたがやろうとしてることに役に立つでしょうし、それによって今まで以上にいい人達との出会いもあると思います。
不安もあるかと思いますが、それ以上にこれからどんなことが起こるだろう、どんな人達との新しい出会いがあるのだろう、これからどんな楽しいことが待っているのだろうとウキウキしませんか?
Positiveな考えや気持ちは、Positiveな運命を引き寄せるのではないかと私はいつも思い常に前向きに生きていきたいと思っています。(いつもいいことばかりではないけれどね・・・・。)
頑張って!!

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