「ニーナ」

昔話のように、何度も聞きたくなった。矢野絢子の歌「ニーナ」。

木で作られた椅子が世代を渡っていく内容のこの歌。映画を見ているような 感じで場面がクリアに想像できる。この世に人間より長く存在できる物は、人間の短い一生の生き様を見ながら何を思うのだろう。椅子にもきっと魂があって、感情があって、何か言いたいのだろうか。物は存在する美しさだけで、言葉なんて必要ないのかもしれないけど。

子供が椅子と自分の名前が同じ「ニーナ」だと発見する。そんな運命的な場面が頭に焼きついて離れない。女の子が見つけて、驚いて、お母さんに言って、笑って、騒いでいる表情がはっきり見える。こんな当たり前のような無邪気な光景がとても幸せに感じられる。

椅子が壊れる(死ぬ前)に語る思い出の台詞に胸が強く打たれる。クライマックスで最後の言葉をつぶやく「ニーナ...」、魂が抜けていく瞬間だ。何世代残っても、人間にずっと使われ、いずれは壊れるこの椅子。現実には足が折れただけで、椅子が持っていた思い出なんか誰も知ることは無い。最後はやっぱり空しい。

久しぶりに歌にこんなに感動した。一度聞いただけで、目が潤んだ。それから何度も何度も聞いている。

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