劇「The Tempest」

100人ぐらいしか収容できない小劇場は、元々は劇場では無い場所を工夫して劇が出来る場所にしている。ステージも広くは無い。そんな場所でも良い劇だっ たら人は見に来るわけで、一つも空席がない観客のエネルギーはたまらなく心地が良い。始まる前からどんな劇が見れるのか、プログラムを読んだり、大道具や 劇場独特の雰囲気につつまれて公演時間までドキドキして待つ。照明が劇の始まりに消えて観客がしーんとなる瞬間が大好きだ。

そして、凄いものを見てしまった。

83歳のこの辺りで活躍しているプロの役者が、シェークスピアの「The Tempest」の主役プロスペローを演じていた。この歳であれだけの数のセリフがあって、週に7回の公演を一ヶ月やるのはとにかく凄いと思う。今夜のパフォーマンスも素晴らしかった。体はしっかりしていて、無駄な動きが無い。声が良すぎる。難しい古典英語でも、彼の言うセリフは全部一語一語解らなくても、言っている意味が解った。詩的なシェークスピアの書いたセリフは上手い役者にかかるとイメージがはっきりと伝わってくる。心が動いた。

僕が読んで想像したものとは全く違う演出が今回されていて、そのcreativityに驚かされた。素敵な劇だあるからこそ、演出の仕方に無限の可能がある。夢や想像が広がって行く。この劇はシェークスピアが人生最後に書いた劇で、最終的にやっとこのような劇が書く事ができたのだろう。

魔法が使えるプロスペローは最後にその力を捨てることにする。まさに、シェークスピアが劇を書く事をやめるように。そんな自分を描きたかったのかも知れない。自由にしてくれてと観客に語りかける。

But release me from my bands
With the help of your good hands:
Gentle breath of yours my sails
Must fill, or else my project fails,
Which was to please. Now I want
Spirits to enforce, art to enchant,
And my ending is despair,
Unless I be relieved by prayer,
Which pierces so that it assaults
Mercy itself and frees all faults.
As you from crimes would pardon'd be,
Let your indulgence set me free.

一番大好きなシェークスピアの劇だ。一番好きな劇の一つとも言えるだろう。

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