劇「Night Sky」

昨夜に続いて、また違う劇を見る機会があった。「Night Sky」というあまり有名ではない劇は、天文学の教授がいきなりAphasia(失語症)を患う話だ。失語症とは脳の損傷により、言語機能が障害された状態だ。言葉が出にくかったり、たどたどしい話し方をしたり、突然間違った言葉が出たりしてしまう。病状を家族とともに克服しようとするドラマだ。

僕はこの劇を見て考えさせらえるわけであるが、それ以上に何をするべきなのだろうか。それを見た瞬間はこういう病気があってかわいそうだと思いながら劇の世界にいる。それが終わると普通の生活に戻り、少しはまた後で考えることもあるが、僕の人生に大きな影響を与える訳でもない。

演劇の先生としては、どの学生がどう言う風に演技をやっていたかとか、演出の批評をしたりするぐらいだ。やっている学生は学ぶ事があり、それで良い経験になって行く。そこには意味がある。

しかし、どの劇を見てもそうだ。考えさせられることが多いが、どんなに深刻な内容を語っていても、その後に何の行動をとるわけでも無かった。劇以上の事をいままでやってきただろうか?演劇は感動させたり、楽しませたり、考えさせたりお客にするだけの物であって、それ以上の物を求めるものでも無いのかも知れない。

演劇によって、人と人との純粋なつながりを生で感じることができる。音楽、美術、詩、ダンスなどを全体的に表現できる完全な芸術には人の心を動かす力がある。発想すること、美意識、創造力を与えてくれる。だから今まで演劇に魅せられて続けて来た。

それで良いのかも知れないが、やはり疑問に感じる事もある。疑問を感じなくなったら、やっている意味もなくなるのだろうけど。

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