佐賀の役者を60人くらい集めた大所帯の芝居

佐賀で経験値を問わずに沢山役者を集めた演劇の公演を終えた。”楠を守った賢女「福田ヨシの生涯〜若葉の揺れるころ〜」”は2000人を越える観客を動員した。今回は、役者として少ない(でも重要)出番をいただいての参加だった。本当はもっとガッツリと関わりたかったものの、僕のスケジュール的には無理な話しであった。

公演が近くなり、だんだんと僕も稽古に頻繁に顔を出すようになってからは、だんだんと共演者やスタッフの方々とも距離が近くなってきて、一緒に目標に向かって行く連帯感が生まれたてきた。しかも、今回のプロセスにはドラマがあった。色々とここでは書けないような、感情の生き物であるがゆえに起きる人間模様。いや〜、それ自体でも芝居ができそうだったくらいだ。

演出を手掛けたのは僕と同世代の野本さん。この大所帯をまとめた彼の力量には脱帽するばかりである。本当に大変だったと思うけど、役者達には一切愚痴らずに、役者達を守ってきてくれた。また、時にはキツいことも言って、役者を育ててくれた。芝居に対する本気の向き合い方とか、演出家としてのビジョンを明確に持ち、役者が信頼できる演出家として、長い間引っ張ってくれていた。

色々な物の考え方を持っている人達がいるのは当然であり、演出家はそれを何とかまとめなくてはならない。ある意味、演出はコントロールできないものをコントロールしようとしなくてはならない。決してコントロールできなくても、上手く(いい意味で)人を使わなくてはならない。今回の大所帯の中で、この演劇を成功に導いたことは尊敬に値すると思う。

僕は演出家としは甘っちょろい。ある程度の絵は見えても、役者が持ってくる物を受け入れることで、それが変化していったり、時には白紙にもどすこともある。あくまでもコラボレーションというのが僕のスタンスだ。野本さんは違う。はっきりと自分のやってもらいたいように、やることを求める。やり方が役者がわからなくても、厳しく「違う!全然ダメ!」と言う。僕は、褒めて育てる方。野本さんは叱るけど、たまに褒める。どっちがいいというわけでは無いが、まるでお父さんとお母さんのような違いである。

だから今回は、役者との関わり方などについて色々と学ばせてもらった。僕自身が役者として関わることで、演出のあり方に関して見えてくるものがある。それは、演劇家としてこれからも僕が活動していくために、とても大事な教えだと思う。

野本さん、本当にありがとう。そして、お疲れさまでした。

コメント

人気の投稿