劇「Columbinus」

たまには仕事に関係した話をしよう。

現在出張で American College Theatre Festival (アメリカ大学演劇祭)の地区大会に来ている。そこで、「Columbinus」と言う劇を見た。この劇は事実をもとにして作られたドキュメンンタリー劇である。1999年4月20日にコロラド州リトルトン市のコロンバイン高校で12人の学生と1人の先生が乱射される事件が起きた。乱射した後、実行犯の学生二人は自殺した。

この悲惨な事件をもとにして劇を作る事自体に僕は反対しないが、作っていた内容にかなり問題を感じた。劇を見た後、ショックの方が多く、気分が悪くなっただけだった。それはこの劇がただ単に実行犯がどのようにして乱射までに至ったかという事実を伝えていただけだからだ。

そこで、「劇とは何か?」という定義が出てくる。事実だけを伝えるのはニュースや新聞だけで十分にできる。それを何故に劇にしたかったのか?こう言う問題があって実際に答えを探そうとしたり、それを改善するような話だったら劇になる。こういう出来事があって、それは社会的にすごく問題があって、それを事実として投げかけるだけだったら、劇とは言えないだろう。事実を伝えるだけだったら劇にしなくてはいけなかった理由が全く無い。

劇は芸術でなければいけない。芸術とは美しさや希望があるものだ。悲惨な事実にはそんなものは無い。悲しかったり楽しかったりするだけでは劇として、芸術としては役を果たすことが出来ない。

こういう劇があることに腹立たしくなった。

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