月夜に

佐賀から多久に帰る道中に、月が薄っすらと照らしてくれる山がある。僕はその光景を見るのが純粋に好きだ。それを見る度に、山の神秘な力をかもしだしているように感じる。山が美しくも、怖くも感じる。月の暖かさも感じる。そして、時の流れも感じてる時、思う。この山や月は幾つも時を越えて人間の哀れみや憎しみや、永遠でないゆえのはかない美しさも、きっと見て来たのだろうと。人災や自然が起こす災害も見てきただろうと。僕の情けない有様も知っているだろうと。

いつも本気で正直に生きられるのであれば、山や月に対しても恥ずかしくない自分を見せれるのかも知れないが、人間である以上、欲に負けてしまう。自分がかわいいから、自分を許してしまう。馬鹿なこととわかっていても、やってしまうことさえもある。しかし、人間は人間以上に、ごく少数の人間しかなれない。それをみんな目指すのではなかろうか。誰だって凄いことをしたい。歴史に残るようなことを、できるならやりたいはずだ。世界中が驚くことをしたい。

自分は大したことができないと、本当に思う人はいないのではないだろうか。できないのは、何らかの理由があり、その現実を認めて受け入れて日々生きていくのではないだろうか。妥協せずに生きれる人間こそ、きっといないだろう。とりあえずは妥協しても、次はまたリトライしようと思って生きるしかない。

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